蓮のつらつら考える事。


by spiaggia_corrente
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野崎歓准教授が、「異邦の香りーネルヴァル『東方紀行』論」で読売文学賞を受賞されました。

おめでとうございます。

ネルヴァルという方のことなぞまるで知らなかったのに、
野崎先生の本だということだけで手にとりました。
あとがきまでいれたら400ページを優に越えた大著です。
最初のページに石川淳の『山桜』の引用文があります、学術的研究書ならば読めないかなと思ってましたがこちらはおおいに違うようです。

読みやすくて、読んでいくうちに、まるで自分でネルヴァルの文を実際に読んでいるかのような気さえします。
野崎先生が抜粋して下さったレインとネルヴァルの対比は実験動物の観察日記のようなレインの文章とロマン溢れ想像力が刺激されるネルヴァルの文の差を如実に理解させてくれますし、
ネルヴァルの東方紀行は大方の紀行文が実際に行った土地を正確にああだったこうだったと描写しているのに対して、旅行しているのもネルヴァル自身なのかもあいまいで、旅の目的もハッキリとはせず、なにを見に旅行しているのだか、行き当たりばったり的な群集の中に自己を消して紛れ込む旅をよしとしています。
旅人=ネルヴァルと確定していないので、紀行文じたいが全て実際にあったことなのか虚構をまじえたものなのか、まるで物語を読んでいるかのような、不思議な趣をもっていることや、
かぐわしく香る濃密な空気を含んだ夜の描写や、
当時のヨーロッパ特にフランスがイメージとして描いているオリエントの誤った情報への誤謬をただそうとする直接的な主張など、
ネルヴァルの本は一冊たりとも読んだことがないのに野崎先生の解析によりネルヴァルの本質に迫れた気さえもします。

ぜひ先生にはこのご本のような学問としての研究書としても「批評」「エッセイ」としても読むことの可能な本を書き続けていただきたいと勝手に願っております。
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by spiaggia_corrente | 2011-02-22 20:34 |
古寺巡礼といったら和辻哲郎ということで
『イタリア古寺巡礼』岩波文庫
ローマの南の方にある サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラノという大きな寺の四面回廊
のモザイクがよいとか、
ティチアンのピエタ(ヴェネツィア)がすばらしいとか、
これはイタリアに行けたならば必ず見に行かなくてはと思わせる
信頼感を和辻さんはお持ちです。

私はラファエロがあまり好きでないのですが、
余りに世界的歴史的に評価がたかいので、
そのことは触れずに黙っておこうと(^^ゞしておりました。
和辻氏のラファエロに対しての部分を読みましてお墨付きを頂いた気分。
わいヾ(^_^)公言します。私どうもラファエロ好きになれません!

ロマネスクはローマを模倣したもの、
「ローマ式」のものに相違ないのであるが、
云々から始まるロマネスクの解釈とゴシックの解釈←行き過ぎると病的になるなど。
私は感じてはいましたがどう表現したらよかったのか^^;でしたので、
よくぞ言葉にしてくださったかん。

それにしても、奥様へのお手紙がもとになっているとのことですが、これだけの内容を普段のやり取りでなさっていたとは知的レベルが高いご家庭なのですねと感服(^・^)致しました。




『美しきもの見し人は』堀田善衛
美術という観点からきっとイタリア関連も書かれてありましょうと図書館から借りてきました。
最初がまずアルハンブラε=ヾ(*~▽~)ノしかもあこがのと臆面もなくと堀田さんは書かれています。
『アルハンブラ物語』を読まれたうえでのアルハンブラへの強い思いはとてもよく理解できます。

とても正直な文章なので読んでいてちょっと恥ずかしい所もありましたが、ゲーテ・ドイツ人からみた明るく太陽溢れるイタリアへの思いはなる程と納得。

話題として取り上げてある絵画の写真もほとんど掲載してくれていますし、図書館で借りた本でしたが当たりの一冊です。



『イラストで読むルネサンスの巨匠たち』杉全美帆子 河出書房新社
イタリア芸術の本を読んでいるとヴァザーリの『芸術家列伝』によるとなんたらかんたら云々と時々面白い話しが紹介してあります。
どんな本なのか気になっていたところに渡りに船。
わかりやすいイラストで愉快なエピソードを紹介してくれています。
なんでもヴァザーリの本にはちょっとばかり思い違いとかもあるそうですが、当時の芸術家たちを親しみやすくかつ生き生きと描きだしている貴重な本と評価もされているようです。
なんといいましても書かれているエピソードが面白い( ´艸`)
『芸術家列伝』いつか読んでみたい本です。
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by spiaggia_corrente | 2011-02-15 22:50 | イタリア
『天使たちのルネサンス』佐々木 英也著 NHKブックス
聖人やアトリビュートは気になってみていましたが、
今までは天使といえば、
顔から直接羽が生えている上級天使はケルビム、
それと受胎告知の大天使ガブリエル、そしてパタパタ羽根をつけて飛んでいるキューピットぐらいの区別ぐらいしか知りませんでした、
こちらの本で天使にももっと細かい位階があることを知りました。

天使の語源はギリシャ語のアンゲロス告知する者・使者に由来。
様々な天使の区分けをディオニュシオスの天使の位階の説明を用いて紹介しています。

天使は大きく分けて三つの位階に分かれ、その各々がまた三つの階層に分かれること。

第一の最上階は熾天使セラフィム・智天使ケルビム・座天使トローニ
第二の中間位階は主天使ドミナティオーネス・力天使ウィルトウーテス・能天使ポテスターテス
第三の最低位階は権天使プリンキパートウス・大天使アルカンジェリ・天使アンジェリ。


天使博士とよばれたトマス・アクイナスの前記のディオニュシオスに倣った三層の天使それぞれの役目を説明されています。
例えば受胎告知で描かれているマリアに懐妊を伝えるのは大天使ガブリエルでその大天使の役目は神から人へのメッセージを伝えるのが役目だそうで、このように九つの位階の天使それぞれに役目が決められています。

ルネサンスの宗教画に天使は沢山描かれています、
その中からこの本ではフラ・アンジリコと彼と同時代に生きていたフィリッポ・リッピの描いた天使の違いを一章づつ割いて考察してくれています。


著者はフラ・アンジリコを私同様に好きなようで、色彩やら彼の描いた天使に最大級の賛辞を与えてくれています。


上記の本より挿し絵入りで読みやすいのが、『天使のひきだし』視覚デザイン研究所。でも佐々木英也さんの本の方がちゃんと主張もありなおかつ描かれた作品に対しての愛があり好きかな。





『イタリア紀行』ゲーテ
岩波文庫相良守峯訳

1780年代にゲーテが旅したイタリア。
第一印象はゲーテさんローマ好きすぎです。

ローマに向かう途中のローマに対する期待度の高さ、
ローマに滞在したことの感想は
「ローマに来て私ははじめて自分自身を発見し、はじめて自己と一つになって、幸福にかつ賢明になったのである。」
と最上級のほめ言葉を随所にちりばめています。

ゲーテと、イタリアで知り合った女性との交際は真面目なゲーテのイメージ通りでしたが、
シチリアでのカリオストロの親族への接し方は裏切りともとれました(=_=;)

随所に鉱物・植物に対する興味をあつく語っていますがその造詣の深さには感服しました。

実際に見てはないのでこのようなこと書かない方がよいのでしょうが、
私がまったく興味のないパラディオの建築が大好なのですよね、
だからせっかくアッシジに行っているのにパラディオばかりに感激していてジョットには無反応だとか
シチリアでもモザイクで飾られた教会の感想がなかったりなのは残念ですし、
もっと言えば、お金にも時間にも困らない旅なのになぜラヴェンナに足を向けなかったのか  あ~勿体ない。


18世紀のローマにタイムスリップして情景をみせられているかの、
馬のいななきまで聞こえてくるような、
謝肉祭のコルソー通り(地図でみると現在この通りにゲーテ館があります)この本を読んで行ってみたいなと思ったのはこの部分だけでした。

ゲーテの本は岩波文庫で上・中・下の三冊、小説ではないので、例えばゲーテが生きている時に今は有名なこの芸術品は存在していたのか?とか時代背景とかに気を使いながら読むのはちょっと大変でした。
集英社新書の『ゲーテ「イタリア紀行」を旅する』の方が読みやすいのかも(でも、こちらはまだ読んでません)

嬉しい事にいま放送中の「世界の街道をゆく」は~光を求めてゲーテイタリア紀行の道~が放送されてました。
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by spiaggia_corrente | 2011-02-12 18:58 | イタリア